お焼香は極楽浄土を思い起こさせる香りが隅々まで広がることで、すべての人が平等に仏様の慈悲を受けられるとされます。お焼香をすることにより仏様や故人様に向き合う前に自らの邪気を祓い心身を清め、敬意と感謝の気持ちを捧げるという意味があるとされています。
〈お焼香の3つのやり方〉
お焼香は仏教における供養のひとつで、お香は不浄を祓うものとして葬儀だけではなく、様々な仏事に用いられています。そのお焼香には式場の規模や場所、参列者数などにより、立礼焼香、座礼焼香、回し焼香の3種類があり、それぞれ違う手順を踏むやり方がありますが、この3種類の基本的な作法をご紹介します。
●立礼(りつれい)焼香
椅子が設置された式場などで使われる方法で、一般的な式場では、ほとんどがこの立って行うお焼香です。遺影の前に焼香台と香炉が置かれ、故人様と生前近しかった順番に参列者が遺影の前に並び、立った状態で下記の順でお焼香を行います。
①焼香台へ進みます。数珠をお使いの場合は左手で持ちます。
②焼香台手前で止まり、遺族・親族に一礼してから、遺影に向かって一礼・合掌し、焼香台の直前まで進みます。
③基本的な作法として、右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつまみ静かに香炉に落とします。香を掲げる回数や作法は宗派によって異なります。
④祭壇(遺影)に向かって合掌します。この時、数珠をお使いの場合は、両手に掛けます。
⑤一歩下がり遺影に向かい一礼、次に遺族・親族に一礼して席に戻ります。
●座礼(ざれい)焼香
畳敷きの式場で多く用いられる、座った状態で焼香を行います。
基本的な作法は立礼焼香と同じですが、異なる点は立ち上がらない点のみで畳上で 座ったまま下記の順でお焼香を行います。
① 軽く握った両手の親指を立て、膝を軸にすり足で移動します。
焼香台まで遠い場合は、中腰で移動します。
②焼香台手前で止まり、遺族・親族に一礼してから、遺影に向かって一礼・合掌し、焼香台の直前まで進みます。
※遺族と親族に一礼する時は、座布団から降りた位置で行います。
③基本的な作法として、右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつまみ静かに香炉に落とします。香を掲げる回数や作法は宗派によって異なります。
④一歩下がって座布団から降り、遺族・親族に一礼して膝ですり足をしながら後ろに下がり、自分の位置に戻ります。
長い間の正座で足がしびれ動けなくなることがありますが、立ち上がる前に足の指すべてを床につけ体重を少しづつかけると改善するかもしれません。
●回し焼香
自宅のように会場が狭い場合や参列者に高齢者や足の不自由な方がいる場合などに負担がかからないように採用される焼香形式で、立礼焼香・座礼焼香は自分で焼香台まで行きますが、回し焼香は座っている場所で香炉を手元に置き焼香が終わったら、順番にとなりの人に香炉を渡していきます。
基本的な作法は立礼焼香と同じですが、若干異なる作法があります。
①自分のところに焼香炉が回ってきたら、一礼し受け取ります。
②焼香炉を自分の前に置き遺影に向かって一礼・ 合掌し、正座でお焼香をします。
③お焼香が終わったら隣の人に軽く一礼して回します。
※椅子席の場合は、自分の膝の上に香炉を置きます。
お焼香のやり方は宗派により異なりますので、詳しくは下記をご参照ください。
【焼香時のマナー ~ 宗派によるお焼香の違い】はこちらからどうぞ >>
以上のように、お焼香は心と身体の"けがれ"を取り除き、きれいな心で追悼するための作法とされ、仏式葬儀において大切なことです。そして何よりも大切なことは心を込めて「故人の冥福をお祈りする」という気持ちです。 お香の煙に故人への想いをのせて、正しいマナーでお祈りできるよう、今一度お焼香のやり方を確認してみてはいかがでしょうか。
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