受け継がれた帆船

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人は、内に秘めた夢や憧れをカタチにしたいと考えるものです。その想いを、愛するわが子が受け継いでくれるほど、幸せなことはないかもしれません。

その日、アムールが担当させていただいた故人様は、木製の帆船模型がご趣味でした。喪主である奥様と中学2年の息子さんの一番の思い出は、モナコで本物の帆船をみたことだとおっしゃっていましたので、ご家族全員がその魅力に引き込まれていたのでしょう。故人様の腕前はコンクールに出展するほど本格的で、亡くなる前日も作製していたそうです。

息子さんは、そのつくりかけの帆船模型を完成させたいと思っていたのでしょう。彼とアムールのスタッフである私はお父様の49日までに仕上げようと約束しました。私も何度かご自宅に通ってお手伝いさせていただきましたが、大半を息子さんが手がけられました。

完成したのは、49日法要の2日前。当日、新しい仏壇の横に全長85センチほどの立派な帆船模型をお供えしました。その時の息子様の笑顔がとても印象的でした。美しい帆船は、ご家族の想いを乗せて力強くお父様のもとへと旅立たれたような気がしました。


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